第18回 エチオピアの歯医者は47士(97年12月03日)



47士といっても、別に忠臣蔵と関係があるわけではありません。

季節的にこう言った言い回しの方が注意を引けるかなあって。 それだけです。

Ethiopian Dentists Associationによると、エチオピアの歯医者は47人。
医者一人当たりの人口は120万人。
ケニアが6万人でウガンダが11.3万人らしい。

レベルはどうだろう?

一度だけ歯医者にかかったことがあります。

そこは、アジスで一番高いといわれているところ。(当然一番レベルも高い、といわれている。)
初診料が50ブル。 レントゲンが50ブル。 歯を抜いてもらって、50ブル。 何でも50ブルかというと、
そうでもなくて、薬が2種類出て、35ブルぐらいだった。(この金額がどういうレベルかというと、
我が家のメイドが月給350ブル。 インジャラの原料のテフがアジスで買って100kgで約250ブル。
50kgで一家5人が一ヶ月暮らせるらしい。)

駐在に行く前には歯だけはきちんと見てもらって治していくように、と言われます。
で、私も1年前に日本を出る前に歯医者には行っていたのですが、その時にはどうもなかったところが
痛み出しました。

右の一番奥。
痛み出してから何ヶ月かは放っておいたのです。 やっぱり、途上国で医者にかかるって、
できれば避けたいじゃないですか。 しかも、歯医者って口の中を攻めてきよるから自分が一体
何をやられてるか分かれへんし。
でも、やはり悪くなるだけで、とうとうそっちで食べ物をかむのが耐えられなくなってきたので、
意を決して歯医者に行きました。

歯医者はインド人。(内心、ちょっと安心。 申し訳ないが、エチオピア人の医者よりは腕はましかな、
と思ってしまうのは人情というものでしょう。)
設備は素人目には新しく見える。 最新鋭ではなさそうだが。(ここでも、ちょっと安心。)
手袋はDISPSABLE。手袋がティッシュケースのような箱にいっぱい詰まっていてあたかもクリネックスを
取るように取り出していた。(どんどん安心が増してくる。 でも、肝心なのは腕だ。)
こちらから状況を説明。(右の奥の上下の歯が痛い。 実はこの時は上ではなく、上下だと思っていた。)
先生が奥歯を見た結果、下ではなくて、上だという。
念のためにレントゲンを撮る。
レントゲンを見ても、上だけだと言い張る。(それまでの安心が不信に変わってきた。 
本人が下が痛いって感じてるのに、上とはおかしい。 こいつやっぱり藪ちゃうか?)
で、一番いい治療法は何か?と聞くと、「抜くこと」との答えだったので、注射器を使われるのはちょっとなあ、
と思ったが、今や、もう歯の痛みを止める方が先決問題となっていたので、お願いした。 (まあ、良くても
悪くても、今後の日本人の貴重な資料にはなるだろう、と開き直る。 もう一つ不安だったのは、
もしかして麻酔が無くて漫画のように力任せに引っこ抜かれたらどうしよう?痛いよなあ、ってこと。)
注射器を出してきた。(あっこれもDISPOSABLEだ。 麻酔をやってくれるんだ。 良かった。 でも、
もし麻酔の薬の量を間違えてたらどうしよう。 などと別の心配をしてしまう。)

何やらごそごそやっているうちに、綿を詰められた。 (えっもう終わったの?)
実はこのおっちゃん、うまいんとちゃう? (と、ころころ気持ちは変わる。)

その後、もちろん下の奥歯は何の痛みもなく快調です。





アジス便りのリストへ